糖尿病性昏睡と水「尿を出したら水を飲む」が重要

では、2つの条件を詳しく説明しましょう。

・高齢者である
のどか渇くということは、体内の水分が不足している、すなわち脱水していることを知らせるシグナルです。
一般に健常な若者であれば、水分が少しでも不足すれば、のどか渇き、体内の水分のバランスがとれるまで水を飲みます。

ところが、高齢者になると、体内の水分が不足しても、のどの渇きがじゅうぶんに自覚されなくなります。
これは、脳が老化することで、のどの渇きを感知する脳の部位(口渇中枢)の機能が低下するからです。
その結果、のどか渇き水分をとったとしても、まだ水分不足をじゅうぶんに補えていないところで口渇感がなくなってしまいます。

したがって、のどの渇きだけを頼りに水分摂取を調整すると、じゅうぶんな量の水分が補給されていないことになります。
その結果、高齢者は常に水分が不足しがちとなり、脱水状態になりやすいわけです。

・糖尿病である
糖尿病は、血液中の糖分(血糖)がうまく利用されないために、血液中の糖分濃度(血糖値)が高くなってしまう病気です。
血糖値が高いと、脱水状態を起こしやすくなります。
その理由を述べましょう。

本来、糖分は、生命を維持し活動するためのたいせつなエネルギー源です。
ところが、糖尿病になって、血液中で糖分が利用できずにだぶついていると、体にとって好ましくないことが起こりがちになります。

そこで、正常な血液の状態にするため、体の防衛反応が働き、だぶついた糖分を体外へ出してしまおうとします。
このときに利用されるのが尿です。
すなわち、だぶついた糖分を尿に溶かしこんで体外に出してしまおうとするのです。

その際、糖分を尿に溶かしこんで排せつするには、通常より多くの水分が必要になるのです。

その結果、尿に糖が出るたびに、体の水分が大量に失われていきます。
当然、体は水分不足、すなわち脱水の状態になりますから、非常にのどか渇き、たくさん水を飮むという、典型的な糖尿病の症状が現れることになります。

つまり、多尿⇒口渇⇒多飲⇒多尿という症状が堂々巡りで起こるわけです。
このような症状が現れると、「水をたくさん飲むから悪循環し尿がたくさん出るのでは」と心配する人が少なくありません。

ところが、水を飲まなくても、だぶついた糖分を排せつするため、尿はどんどん出ていきます。
ですから、糖尿病になって水の補給を怠ると、健常者より短期間で、極度の脱水状態になりやすいのです。

まだじゅうぶんに治療されず、血糖値が高い糖尿病にとって、多尿⇒口渇⇒多飲⇒多尿という症状は、悪循環ではありません。
このような循環は、多尿でだぶついた糖分を出し、水をたくさん飲んで血液を薄め、血糖をドげる役割を果たしているのです。

結果的には、水分をたくさん飲むことは、血糖値を今以上には上げない、頭打ちにしていることになり、糖屎病の悪化を防いでいるといえます。

ですから、日ごろから計画的にじゅうぶんな水分補給をしていなければなりません。

目安として、1日に最低I・5リットル、暑い日には2リットルの水を飲むように心がけてください。
「尿を出したら水を飲む」という習慣をつけるといいでしょう。

ただし、水分だからといって、ジュースやスポーツドリンクでの補給はいけません。
このような糖分の入った飲料は、かえって血糖値を上げてしまうからです。

 

2014/09/06 糖尿病性昏睡と水「尿を出したら水を飲む」が重要 はコメントを受け付けていません。 水と糖尿病性昏睡